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第0章 はじめに:古着とは何か

古着・ヴィンテージ・ユーズドの違い

まず言葉の整理から。日本の古着シーンでは、ほぼ同じ意味で使われがちですが、本来はニュアンスが違います。

言葉意味ニュアンス
古着(used / second-hand)一度人手に渡った中古衣料全般年代・価値を問わない最も広い言葉
ヴィンテージ(vintage)概ね 製造から20〜30年以上 経った、年代的・文化的価値のある古着「古い」だけでなく「価値がある古い」
アンティーク(antique)おおむね 100年以上前(ヴィクトリアン〜1920年代頃)衣料では希少。美術品的価値
レギュラー古着90年代以降の量産品など、ヴィンテージ未満の一般的な古着価格帯が手頃。流通量が多い
デッドストック(dead stock / DS)売れ残り等で 新品未使用のまま残った 在庫「未使用の古着」。当時物なら高価値

ポイントは「古い=ヴィンテージ ではない」こと。年代に加えて、

  • 文化的背景(誰が・どんなシーンで着たか)
  • 希少性(残存数)
  • ディテール(後の量産品では再現されない仕様)

が揃って初めて「ヴィンテージ」として価値が認められます。

なぜ中古の服に高い値段がつくのか

新品の方がキレイなのに、なぜ古い服が新品より高くなるのか。理由は大きく5つです。

  1. もう作られない(再現不可能) — 当時の生地・縫製・染め・部材は、コスト・規制・職人の引退で再生産できないことが多い。例:旧式の力織機で織られたセルビッジデニム、廃番になったヴィンテージのジッパー。
  2. 数が減り続ける — 服は消耗品。着れば擦り切れ、洗えば縮み、捨てられる。時間が経つほど良好な個体は減る(=希少性)。
  3. 文化・物語がある — 「ジェームズ・ディーンが着た」「90年代の渋谷で流行った」など、服そのものを超えた物語が需要を生む(→第13章)。
  4. 経年変化が「育つ」 — デニムの色落ち、レザーの艶、染めの褪色など、使い込んだ風合いそのものに価値がつく。新品では出せない表情。
  5. 一点物性(サイズ・状態が個体ごとに違う) — 同じモデルでも程度や色落ちが違うため、「これ」という一着が見つかった時の代替不可能性が値を押し上げる。

💡 逆に言えば、この5つの要素をどれだけ満たすかが「値段」のものさしになります。詳しくは第12章 値段は何で決まるかで。

古着を学ぶと何が変わるか

  • 失敗が減る:偽物・リペア品・年代詐称を見抜けるようになる。
  • 安く良い物が買える:相場と価値の根拠が分かると、値付けミスの掘り出し物に気づける。
  • コーデの説得力が増す:背景を知って着ると、選び方・合わせ方が変わる。
  • 売れる:仕入れ・値付け・出品の精度が上がる(副業・本業として)。

この本の地図

本書は「知識のピラミッド」を意識して並べています。土台(基礎)から上へ積み上げる構成です。

土台(基礎)がないままブランド史や相場を覚えても、応用が効きません。急がば回れで、まずは第1章 基礎用語から。


→ 次の章:第1章 基礎用語と年代の数え方

学習用にまとめた教科書です。年代・ディテールには諸説あり・過渡期があります。| 写真:Unsplash