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第3章 素材の知識

素材が分かると、「触っただけで年代やグレードの当たりがつく」ようになります。手触り・重さ・縮み方・色落ちは、すべて素材と織り/編みで決まるからです。

3-1. 天然繊維 vs 化学繊維

区分代表特徴
天然繊維(植物)綿(コットン)、麻(リネン)吸湿性◎、肌当たり◎、シワ・縮みやすい
天然繊維(動物)羊毛(ウール)、カシミヤ、シルク保温・上品な光沢、虫食い・縮絨に注意
化学繊維ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン丈夫・速乾・安価、独特の光沢、熱に弱い
混紡綿×ポリ(T/C)など良いとこ取り。シワになりにくい

💡 ヴィンテージ評価では「綿100%・米国製・単色」が一つの王道。化繊混でも、70s のポリ全盛期物などは時代の味として評価されます。

3-2. コットン(綿)— 古着の主役

綿は古着の中心素材。同じ綿でも「繊維長」と「織り」でランクが変わります。

  • 繊維長:超長綿(スーピマ等)>長綿>普通。長いほど滑らか・毛羽立ちにくい。
  • 古着で頻出の綿生地:
生地名使われ方
デニム経糸=インディゴ、緯糸=白 の綾織りジーンズ、Gジャン
ダック(ダック地)極太の平織りで超頑丈Carhartt のカバーオール
ヘリンボーン(HBT)杉綾織り。軍物の定番ミリタリー、ワーク
チノクロス綾織りの中厚。軍のカーキ由来チノパン
オックスフォードバスケット織り。シャツ地B.D.シャツ
フランネル(ネル)起毛した綿。柔らかく暖かいネルシャツ
天竺(てんじく)平編みのニットTシャツ
裏起毛/裏毛(パイル)編地の裏がループ/起毛スウェット

3-3. デニム生地のキモ

デニムは綿の綾織り。古着価値を左右するキーワード:

  • セルビッジ(赤耳):旧式の 力織機(シャトル織機) は生地幅が狭く、両端に「耳」ができる。これがセルビッジ。赤い糸が入ると「赤耳」。70s 以前の証になりやすく価値の指標。
  • ムラ糸:太さが不均一な糸。独特の縦落ち(タテ方向の色落ち)を生む。
  • オンス(oz):生地の重さ。14oz 前後が標準、それ以上はヘビーオンス。
  • 左綾/右綾:綾目の向き。Lee は左綾、Levi's は右綾が基本など、ブランドの個性。
  • 色落ち(フェード):穿き込みでインディゴが落ち、白い緯糸が現れる。アタリ・ヒゲ・ハチノスが「育つ」。

→ デニムの詳細は第5章

3-4. ウール(羊毛)と動物繊維

  • メルトン:厚く起毛したウール。Pコート、スタジャンの身頃。
  • ツイード:粗い紡毛の織物。ジャケット。
  • カシミヤ/ラムズウール:上質。ニット。虫食いチェック必須。
  • メリノウール:細番手で肌当たり良い。
  • 注意:ウールは 縮絨(フェルト化) するため、洗濯機・乾燥機は厳禁が基本。虫食い(小さな穴)は価値を大きく下げる。

3-5. 化学繊維の見分けと年代感

  • ナイロン:軽くて丈夫、光沢。MA-1、ナイロンジャケット、シェル。
  • ポリエステル:シワになりにくい。70s の柄シャツ・ディスコ系で全盛。テック系で再評価。
  • アクリル:ウール風の安価ニット。毛玉が出やすい。
  • レーヨン(人絹):とろみと光沢。アロハシャツ(ハワイアン) の高級レーヨン物は別格の人気。
  • ゴアテックス(GORE-TEX):防水透湿の膜素材。アウトドアの年代・グレード指標(→第9章)。
アロハシャツ(ハワイアン)。高級レーヨン物は古着で別格の人気
アロハシャツ(ハワイアン)。高級レーヨン物は古着で別格の人気 写真: Sam Howzit / CC BY 2.0

3-6. 織り(おり)と編み(あみ)の違い

ここを混同する人が多いので明確に。

  • 織物(woven):経糸と緯糸を直角に交差。伸びにくい。シャツ・パンツ・デニム。
    • 三原組織:平織り(丈夫・シャツ)/綾織り(ツイル)(斜めの畝・デニム/チノ)/朱子織り(サテン)(光沢・滑らか)。
  • 編物(knit):1本の糸でループを作る。伸びる。Tシャツ・スウェット・ニット。

3-7. 経年変化(エイジング)を読む

古着の魅力=「育った表情」。素材ごとに変化が違います。

素材良い経年変化劣化(マイナス)
デニム縦落ち・アタリ・色の濃淡股ズレ穴(程度次第)、生地の薄れ
レザー艶・色の深みひび割れ、カビ、硬化
スウェット起毛のヘタリ感、プリントのひび割れ味黄ばみ、襟ヨレ
ミリタリー綿退色・こなれ当て布の劣化、虫食い
化繊シェル(基本変化少)加水分解(裏地ベタつき・剥離)

⚠️ 加水分解:ウレタンコーティングやラバーが湿気で分解しベタつく現象。90s〜のシェル/スニーカーソールで起きがち。状態確認の必須項目。

🎯 理解度テスト

理解度テストこの章の知識が入ったかチェック(全4問)
  1. デニムの織り方は?

  2. Carhartt のカバーオールに使う頑丈な綿生地は?

  3. 「加水分解」とは?

  4. 編物(ニット)の特徴は?


第2章 ジャンルの全体像 | → 次の章:第4章 タグの見方(最重要)

学習用にまとめた教科書です。年代・ディテールには諸説あり・過渡期があります。| 写真:Unsplash